毛皮ならフェンディ、と世界に名をとどろかすブランド。のちにバッグを発売して、毛皮洋品の裏地のダブルFマークを使ったタイプで名を売るが、それもそのはず、バッグづくりに関して、フェンディは立派なキャリアをもっていたのである。じつはブランドのスタート時の1918年は、20歳のアデーレ・フェンディがはじめたハンドバッグの専門店だった。1930年代の毛皮ブームによって、こちらのほうがすっかり有名になったが、もともと基礎はあったのだ。ブティックとして成長したフェンディは、ふたたび店でバッグも扱いたいと考えはじめた。一流の毛皮にあわせるバッグは、やっぱり一流でなくては……というわけなのだろう、じつは、そのとき、ルイ・ヴィトンと販売契約を交わした。ところが、オリジナルのブティックやそれまでの特約店を優先すると、フェンディのぶんまで余裕がなかったのか、いつまでたってもヴィトンからバッグはまわってこない。そこでフェンディは「いっそのこと、うちでつくっちゃおう」というわけで、昔とった杵柄、バッグづくりを再開した。ケガの功名とでもいうべきか、これが評判になり、毛皮ブランドを知らなかった人たちにまでフェンディの名をひろめる結果となったのである。しかし、レザーとファーは、まさに表裏一体の関係。毛皮ブームに乗じて成長したブランドではあるが、デザインばかりでなく皮そのものに関する知識の蓄積があったからこそ、品質が受け入れられたのだ。