アピール効果と男性目線

2011.07.02

「女性が下着にこだわるのは、つまるところ異性を意識してのことだ」という考え方をしばしば耳にする。このような発想は、化粧や衣服の話題にもついてまわる。いうまでもなく、恋愛や結婚など、性的なパートナーシップは男女間での重要な役割関係の一つであるが、それゆえ、一方の性である男性は、女性を性的なパートナーとしてとらえがちになる。こうした立場は、しばしば、女性の装いや行動を男性へのアピール目的としてみなすという一種の自己中心的な認識の歪みを生じさせやすい。「勝負下着」といった言葉が示すように、特に下着に関してはこうした見方をされることが多いように思われる。研究を客観的に進めてゆくためには、まず、こうした男性側の見方が実際どれほど正しいのか、あるいは誤解なのかを確かめておく必要がある。前章で見たように、「お気に入りの下着」の心理的効果の一つとして、「アピール」が見出された。この点について、二つの調査結果(『第2回・女性の心理と下着に関する調査』2008、『女性の下着へのこだわりと身体意識に関する調査』2008)に基づき、もう少し深く検討してみたい。アピール効果の主な内容は、「異性にセクシーさをアピールできる」や「好きな異性に下着姿をほめられるとうれしい」などの感覚で、これらが「あてはまる」あるいは「ややあてはまる」とする人は25歳から64歳までの対象者の半数程度にのぽる。また、お気に入りの下着を着用したい場面として「恋人やパートナー(夫)と旅行に行く時」を挙げた人も多い。このように、異性と過ごす場で下着にこだわるケースは決して少なくない。確かに、下着が相手の視線に直接さらされる場では、下着はもはやアウター(上着)として機能するわけだ。こうしたデータだけを見ると、「下着にこだわるのは、やはり異性の目があるからだ」という見方をしたくなるかもしれない。

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